kissea’s eye spiritual wall 64




息子と同じ年の青年と某ゲームメーカーの現場仕事をしている。 

君はちゃんと就職して、

一生懸命仕事してて偉いなぁ…。

世代の違う青年と話すのは楽しい。

いろいろ話しているうちに

大好きなゲームをした時間の総計が何千時間になっていて満足だという…     

え?

たくさんの時間、なんてもったいないことをするのだ…。

60近くなったボクはそう思った。

彼には人生を楽しむ時間がまだまだたくさんあるのだ、

ボクにしてみたら、どんなに楽しかろうが

誰かが作ったゲームに残り少ない人生の貴重な時間を使うなんて、絶対にできない。

同じ歳の連中には余命宣告された者だっている。

絵描きだった親は脳梗塞、心不全、圧迫骨折と、いまは描きたかった絵さえ描けずにただじっと過ごしているのを見ている。

事故や災害で死ぬことがなかったとしても、死ぬ前は病に苦しんでいるかもしれない。

会社で仕事をしていると、

世に名の知れたキャラクター造形や、自分以外の売れた作家の世界を造形、映像、演出空間表現製作せねばならぬことが多い。

給料をもらっている身とはいえ、まったく不毛で悲しい時間だ。

皆に羨ましがられてもボクは嬉しくも何もなく、腹が立って悲しくていられない。

一分でも、一秒でも、自分の作品を作りたいのだ。

他人のデザインしたキャラクターや物語などつくりたくもない。

はっきりいってストレスしかたまらず、具合が悪いのだ。

じゃあとっとと会社辞めればいいじゃないかと、ぼくにいいよる輩もいるが、30年以上も勤めて。

あと少しで退職金もらうというのに、辞めたら大損じゃないか、そう思いこの数年を過ごしている。

それより、辞めた方が夢をかたちにできて、お金を稼ぐ事ができるのなら、いますぐにでもやめよう、情けないけど、そんな自信はない。

勤めてる会社は素晴らしい会社で、この30年、日本中の博物館、資料館、テーマパーク、博覧会をてがけることができた。

その中でも、ボクはメインとなる造形物のデザイン、制作管理仕事をしてきた…。

してはきたが、何をした…はいっさい話せない守秘の世界。

会社の名前だけが世に発表されている。

ここが一番悲しいところだ。何十年ぶりにあった友達に、どんなすごい仕事や体験をしてきたかも話せないなんて…まあ、サラリーマンなんてそんなもんよな、と、新橋のうどん屋で汁をすすりながら思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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