263. 蝶々と仙人と




蝶々と仙人と

蝶になりたかった仙人

仙人は蝶になりたかった、美しい花たちの蜜をすってまわりたかった。

仙人は年をとるごとに、蛇のようにからだがのびのびになってしまった。

でも仙人はあきらめられなかった。

このまま死んでしまうのか、一度でいい、空を優雅にとんでみたい。

これでは、さなぎにさえなれない。

いつも、いつも空想した。

何十年も前に一緒にいた友は、若い体のまま、それはそれは皆が羨むような蝶になった。

美しい花たちと戯れ、まばゆいくらいのものだった。

仙人は、羨ましくて、悔しくて、悲しかった、むくわれない自分に嘆き、何年も泣いて暮らした。

格好の悪い自分をみては自分を咎めた。

しかしある日、蝶は命と引き替えに優雅な舞いを終えた。

仙人は複雑な気持ちだった。

お前はどこまでかっこいいんだ。

それから仙人は誓った。

ぼくは、長生きしても蝶にはなれない、けれど、今でも蝶になることだけを

夢見て、片時も努力をおしまない。

生きてる限り、君の何十倍もかっこよくなって空を舞ってやるよ。

最後の一日まであきらめない。

だから、今日も努力を惜しまない。

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