蝶になりたかった仙人
仙人は蝶になりたかった、美しい花たちの蜜をすってまわりたかった。
仙人は年をとるごとに、蛇のようにからだがのびのびになってしまった。
でも仙人はあきらめられなかった。
このまま死んでしまうのか、一度でいい、空を優雅にとんでみたい。
これでは、さなぎにさえなれない。
いつも、いつも空想した。
何十年も前に一緒にいた友は、若い体のまま、それはそれは皆が羨むような蝶になった。
美しい花たちと戯れ、まばゆいくらいのものだった。
仙人は、羨ましくて、悔しくて、悲しかった、むくわれない自分に嘆き、何年も泣いて暮らした。
格好の悪い自分をみては自分を咎めた。
しかしある日、蝶は命と引き替えに優雅な舞いを終えた。
仙人は複雑な気持ちだった。
お前はどこまでかっこいいんだ。
それから仙人は誓った。
ぼくは、長生きしても蝶にはなれない、けれど、今でも蝶になることだけを
夢見て、片時も努力をおしまない。
生きてる限り、君の何十倍もかっこよくなって空を舞ってやるよ。
最後の一日まであきらめない。
だから、今日も努力を惜しまない。