大切な水晶に私の記憶は映らない。
私がいなかったという消えない記憶。
大切な水晶はいつも私の目の前にあったのに。
自分の水晶ばかりをみていた。
大切な水晶と私の水晶は違う。
けれど大切な水晶は私の一部であり、私にとってかけがえのないものだ。
大切な水晶とすごすはずだった大事な時間はもう取り戻すことができない。
代わりに私の記憶の水晶は世の中のために遠い場所で輝いた。
私は間違った。
愚かな私は自分の水晶ばかりを輝かせようとした。
輝かせるべきは目の前にあった大切な水晶だった。
輝かずとも傷つかぬよう、曇らぬよう見守るのが私の使命であった。
そして大切な水晶は一つではない。
私の目の前にあるどの水晶も二度と傷つけたくない。